いきもののような椅子
いきもののような椅子
人間椅子という小説があるくらいだから、
やはり椅子は人の形をなぞったものなのだろう。
ずっしりしたこの椅子が我が家にやってきたのは昨年の10月末。座ったり、PC作業したり、家具として使うこと二ヶ月余り。
今年に入って椅子を稽古場に持ち込みいざ取り組んでみると、やはり人の形を思い出さずにいられない。引っぱったり、傾けたり。手を添えてちょっと角度を変えてみたり。ほんの少しの力に、椅子は反応することがある。
介助者として日々働いていることもあり、触れる、動かし動かされる、間を取る、様子を見る、そういうことを、椅子に対してしてしまう。ずっしりと重たい椅子は、ちょうど全身脱力した人の体重と同じくらいか。
職業という業の深さを感じる。そしてこの椅子がいきもののように転がることにも気づきはじめる。
おそらくそのようにデザインされているのだ。微に入り細に入り、作者の森さんがこの椅子に工夫を凝らしていることに日々気づく。引っぱったり傾けたりするたびに、思いがけない反応をする椅子。いきもののような椅子。
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椅子が森さんのところで制作されているときの写真、それから椅子が我が家にやってきたときの写真、いずれもこのサイトのworksのページにあります。
ぜひご覧ください。
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